市民マラソンの前日準備は荒天でした。
雪とみぞれと、強風と。
それが当日は嘘のように静まって、例年にない気温でした。
今回、目標にした市民マラソン大会。
事務局として準備をし、当日は大会運営、記録集計担当という仕事がありました。
この日、実は記録室には強力な助っ人として来てくれることもあり、不在中、仕事を任せられる人がいることがわかっていたので、エントリーする決意をすることができたのです。
Nさんに、ほんと感謝🙏
田舎町の本当に小さな大会で、参加者も全体で300人くらいです。
小さな大会ながら、スポーツ推進委員や、地域の体育振興会、スポーツボランティア、女性会など、本当に沢山の方がお手伝いをされていて、皆さんのお陰様で通算52回目の歴史ある大会です。
仕事を一旦抜けて、スタート位置に行くと、同時スタートの一般男女&小学女子の3km、一般10kmの選手が集まっていて、100人くらいがひしめき合っていました。
マラソンらしいマラソンは、実に中学生以来!
(高校の頃は5km走るのが嫌で学校を休んでた笑)
なんだか笑えるくらい、緊張してくる。
別に記録に挑戦するわけでも、上位を狙ってるわけではないのに(笑)
そうそう、夫も一緒にエントリーしたので、一緒にスタート位置につきます。
お互い、なんか変な緊張感で、妙に饒舌。
スタッフや、知り合いの参加者に、えっ、走るの⁉️と驚かれながら、ストレッチをしたり、筋肉の温度を上げて、スタートを待ちます。
10kmが先にスタートし、いよいよ3kmの部がコールされます。
多分、3kmのスターターは校長先生だったと思います。
勢いよく飛び出す方々の姿を尻目に、ここでついて行ったら絶対3km走れない、いつものペースで、と言い聞かせます。
夫はあっという間に見えなくなった。
そして、色んなスタッフさんに頑張れー!と声かけてもらいながら、校庭を出て、一般道に入ります。
かなり後ろの方にいる自覚はある。
いつもは一人で走っているから、周りに人がいると自分のペースが分からなくなる。
そういう時は、自分の呼吸を聞く。
「すっすっはー、すっすっはー」
2歩吸って、2歩吐く。
大丈夫、いつものペース。
昔からこのリズムだ。
ため池を曲がりきり、川沿いの堤防に来た頃には完全に息が上がっていた。
初めのトラックで飛ばしてしまったからだ。
目の前の女性ランナーは走り慣れている感じ。
この人のペースで走れたら大丈夫。
すぐ後ろにも人がいる。
後ろの人は少しつんのめる感じの走り方。
折り返し地点が見えるよりも先に、先導車の自転車が見えた。
先頭は私がやっと1キロ走ったくらいで折り返してるんだと思ったら、なんだかおかしかった。
自転車のスタッフもまたよく知ってる方。
手を振ったら「え!走ってるの!びっくりした!頑張って!」とエールを送ってくれた。
トップとすれ違う辺りで、堤防沿いに住んでいる地元の方が声援を送ってくれた。
この季節にしては暖かいとはいえ、堤防沿いは風も強くてとても寒い。
単純に嬉しかった。
身体に伝わる声援が、足を進めるエネルギーになる。
夫ともすれ違った。
夫も必死だった!
一緒に頑張ってくれる人がいてくれるということ。
それがまた嬉しかった。
折り返し。
まだ半分あるってのに、足が上がらない。
吸っても吐いても、呼吸をすればするほど、体の中の酸素がなくなっていくようだった。
なんで、走り出しちゃったんだろう!
やめる口実なんて沢山あったのに!
なんて馬鹿な挑戦しちゃったんだ!
呼吸の隙間を縫って、とうとう弱音が噴き出した。
途端に足が、腕が、重くなり、泣きたいような、情けない気持ちが止まらない。
今日はきっと最悪なタイムだ。
こんなに体が進まないんだから。
こんな状態なのに、ゴールはまだまだ当分先だ。
やめたい。
足を止めたい。
ため池まで戻ってきたところで、10kmの折り返し地点が見えた。
ゴールまであと1kmくらいだ。
そこで目に映ったのは、走路の水たまりをため池まで掃き入れている近隣の方。
選手が通るたびにほうきを握る手を止めて、大きな声援を送ってくださっている。
正直、辛さなんか吹き飛んだ。
人には見えない、こんなところでも地域の方に協力していただいて、温かい気持ちで見守ってもらってる。
こんなに長く大会を続けられるのは、他ならない、この温かい気持ちを皆さんが持っていてくださるからなんだ。
校庭が見える。
また知っている方々が沢山声をかけてくれる。
頑張れー!
もうちょっとよー!
頑張れー!
よく頑張ったねー!
お帰りー!
もうすぐゴールよー!
いつ止まっても、いつ転けてもおかしくない程の走りだけど。
なんとか。
こうして戻ってきた。
走ってよかった。
情けないくらい遅いけど、今の私のベストで走ったんだ。
(ゴールでは助っ人Nさんが待ち構えていて、写真を撮ってくれた✨)
たかだか3kmの、ちっぽけな挑戦だったけど、沢山の温かい気持ちに満たしてもらった。
走らなければ触れられなかった優しさが、そこかしこにあった。
それだけで、ちっぽけな挑戦が、とても貴重な価値を持って、光り輝くようだった。
ありがとう。
心の底から自然に湧き上がってきた言葉。
記録室に戻り、自分で結果を入力する(笑)
そうです、こちらが本業。
そして、タイムは。
当初の目標通り、15分台だった!
あんなにボロボロだったのに、トレーニングを始めて一番の記録になりました。
ちっぽけな挑戦。
たかだか3km走るだけの15分の物語。
私はこの挑戦をずっと忘れないと思う。
諦めても、後悔しても、また懲りずに思いつきでチャレンジし続ける私で在りたい。
病み上がりで甘えたになった娘。
マラソン中は妹夫婦が預かってくれました。
二人がいてくれたから走れた。
ありがとう。
0コメント